24日目 ゴールマラッカ

マラッカに到着した私は途方もない脱力感に寝台へと縫い付けられていた。

マレーシアに入国し、フェリーで2時間の対岸とは思えぬ清潔感漂う町に格差とマレーシアが東南アジアの優等生と呼ばれる所以を垣間見る。インドネシア人に同化していた私は賑わう繁華街を行き交う数多の中国人観光客にアウェー感を覚え、ネパールに入国した時の顔が似ていることへの安心感とは程遠い感触に困惑していた。
本日の宿泊先はアプリで最安だったゲストハウス。一通り宿の案内を受け、ホットシャワーが出ることに関心していたのも束の間、ドミトリーに入ると異様な空気に包まれた。

ドミトリーは広間にシングルベットを並べた上から蚊帳をぶら下げ、ベットとベットの間には頼りないベニヤ板が仕切りとなっている野戦病院さながらの風景だった。そして昼過ぎだと言うのに、部屋の電気は消され薄暗く、半数以上のベットに欧米人が横たわっていた。

活気ある中国人を見ながら歩いてきて、ドミトリー内のこの落差に衝撃を覚えながら私も彼らの一員に加わった。

そして冒頭、現在に至る。
思いの外マレーシアでの時間が余ったのでクアンタンに行ってみるとか、ひとまずマラッカを歩こうだとか考えは浮かぶものの体が動くことはなく、やっとの思いで近くの中華料理屋でチャーハンを食べ再び宿に戻る。

脱力感に心当たりはある。インドネシアを歩くときはある程度気を張って歩いたものだが、マラッカではその必要性をあまり感じず安心感から気が抜けてしまっているのだろう。
明日には気力も回復して動き出せるはずだと自分に言い聞かせ、今日は何をすることも諦め眠りにつくことにした。